「近現代文学史」の受講者が俳句を詠みました 言語文化学科(2024)
今年度後期に開講した「近現代文学史」の一環として、受講生が「有季定型」を条件に俳句を詠みました。
「近現代文学史」は、明治から昭和期の日本の小説、詩、俳句、短歌をテーマとして取り上げています。作家や作品から日本文学の流れをたどるとともに、作品が生まれる背景となった近現代史や作家同士の影響のあり方などについて学び、日本の近現代文学史について理解を深めながら、各自の好きな作品をその中に位置づけて、自分なりに語れるようにすることを目的としています。
この授業を2020年度から担当する柴田奈美先生は、俳句を研究する傍ら、『天啓』『黒き帆』『現代俳句最前線 下巻』(アンソロジー)『イニシャル』といった句集を編むなど、自らも俳人として活躍されています。
現在「銀化」第一同人、公益社団法人俳人協会評議員、岡山県俳人協会会長、公益社団法人日本文藝家協会会員などを務めていらっしゃいます。
12月17日の授業では、留学生を含む受講生が「有季定型」の俳句を詠みました。その中から一部を抜粋してご紹介します。
受講生作品
白息を吐きつつ待ちぬおしるこ屋
受験生白息吐きつつ結果待つ
子を叱る母親の指あかぎれて
クリスマス並んで歩く人のなく
ぐつぐつと煮詰まっていくおでんかな
君を待つ私白息吐き続け
日が沈み足早となる聖夜かな
帰り道雲の隙間に大三角
屋台から出てくる湯気と白息と
寒露(かんろ)の陽(ひ)水面(みなも)へ延(の)びて山(やま)に消(き)ゆ
ストーブで温め伸ばすかじかむ手
震える手寒空の下服を干す
冬の日の落書き窓に息かけて
冬の月寒さとともに光増す
たいやきや身体と心満たしゆく
おさなごのマフラー巻く手に静電気
少年と獅子が踊るや秋祭り
雪積みて聖夜の町の静けさよ
縁側の日向ぼっこや冬休み
留学生作品
三日月のような目をして冬日和
月涼し虫の音響く夜の底
青空や雪まみれなる手ぶくろよ
故郷の夢胸に灯るや冬の星
寒空に烟のぼりて家恋し