教育理念「愛と奉仕」に基づく人間教育
「出会い」が培う人間性
―“Student First” をモットーに―
- 学長 齊藤 育子
- 山陽学園大学 / 山陽学園短期大学 学長 博士(教育学)
山陽学園は、1886(明治19)年に女子教育を求めた人びとの祈りの中から生まれました。その教育理念である「愛と奉仕」は、世代から世代へと脈々と伝えられ、本年は138年を迎えます。創立以来、岡山孤児院の創設者石井十次をはじめ、中川横太郎、炭谷小梅、大原孫三郎、星島二郎など、実に多くの高潔な方々の愛に支えられ発展してきました。今日では、男女共学の幼稚園・中学校・高等学校・短期大学・大学・大学院、そして助産学専攻科(女子のみ)を設置する総合学園として、岡山の地から着実に「愛と奉仕」を体現する多くの優れた人物を世に送り出し、地域の皆様から多大な信頼をいただいております。
本学では、基礎的ならびに高度の専門的知識や技能の修得のための教育はむろんのことですが、それらの根基としての、真に人間らしい「生き方・在り方」そのものについて、自主的に考えることのできる「人間教育」を推進しています。そしてそれを、創設以来「一人ひとり」を人格として尊重し、内面の自発的な活動を大切にしてきた学風 “Student First” と表現し、本学のモットーとしています。教職員は、常に「学生にとってはどうなのか」と自問しながら、学生本位の教育とサポートに専心しています。本学が多くの方々に愛され認められてきたのは、学生の皆さんがこうした教職員との人格的出会いの中で「人間」として大切にされ、その人ならではの持ち味を生かして自由闊達に活動できる大学であるからにほかなりません。
その教育の根幹には、「人と人との出会い」があります。特に若い時代に、どのような人に「出会う」かは、極めて重要なことだと思います。本学園の教育の礎を築いた上代 淑先生も、先にあげた人びとをはじめ国内外の秀でた人びととの人格的交わりを通して、ご自身の生き方・在り方を自覚的にただし、自らの人間性を高められました。
私たち人間は、文字通り人-間(ジンカン)的存在であります。人と人との関わりの中ではじめて生き得るのですが、本学の教育は、どの学科も多様な人びとと協働して学ぶ機会を提供しています。講義や演習、実習や海外留学・研修、フィールドワークやインターンシップ、サークルやボランティア活動などを通して、出会った人びとの持つ多様な価値観との「出会い」を大切に、人間性の向上をめざした大学生活を送っていただきたいのです。そうして培われた人間性を確かな基盤に、本学で身につけた高い志と社会に貢献できる実践力を持って、激変する社会に力強く羽ばたいていただきたいと切に願っています。
教職員一同、皆様との真の「出会い」ができますことを祈念しております。
教育の理念愛と奉仕
山陽学園は、明治初年わが国における女子教育の黎明期に、いち早く地方の先覚者によって創設され、その後上代淑を教師に迎え、その献身的な人格教育によって女子教育において高い評価を得ました。現在、山陽学園は中学校、高等学校、大学、短期大学、大学院ならびに附属幼稚園を持つ総合学園を構成しています。その教育の基調をなすものは「愛と奉仕」の精神であって、この精神を培うことによって人格を高め人類社会に対する連帯の意識を養ってきました。「愛と奉仕」の精神は上代淑によって教えられ、かつ実践され、その理念は山陽学園の教育の精神として伝えられています。
上代 淑かじろ よし
1889(明治22)年、山陽学園の前身である山陽英和女学校に着任。その後米国に留学し、アメリカ女子教育の母と呼ばれるメリー・ライオンの精神を学ぶ。帰国後、再び本学園の教壇に立ち、日本の女子教育の基盤を築く。敬虔なクリスチャンである上代 淑は「愛と奉仕」の精神を携え、1959(昭和34)年に世を去るまで、その生涯を教育に捧げた。
上代淑先生日々のおしえ
上代淑先生遺訓「日々のおしえ」マーク入り
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※上代淑先生遺訓「日々のおしえ」は、本学の授業科目「知的生き方概論」で使用している教材です。本学教育リソースの無償公開の一つとして掲載しておりますので、講義等の教材や自主学習ツールとしてご活用ください。