学長挨拶

教育理念「愛と奉仕」に基づく人間教育

学長 毛利 猛

「出会い」が培う人間性
―“Student First” をモットーに―

学長 毛利 猛
山陽学園大学 / 山陽学園短期大学 学長 修士(教育学)

 山陽学園は、1886(明治 19) 年にキリスト教主義に根差した近代的な女子教育を求める人びとの強い願いから生まれました。その設立趣旨には、「男女は車輪羽翼の如し」ということが謳われています。この考えは、男女共同参画社会、多様な人びとが活躍できる共生社会の実現に寄与する建学の精神として今に引き継がれています。もう一つの、同じく設立趣旨に明記された「基督教をもって道徳の基とし」という考えは、長年校長を務めた上代淑先生によって「愛と奉仕」という言葉に敷衍され、本学の教育理念として脈々と受け継がれています。

 「愛と奉仕」という教育理念をどのように具現していくか。それは本学で教え学ぶ者一人ひとりに等しく課せられた「人間の生き方・在り方」に関わる実践的課題です。本学の教育の基盤には、このような「愛と奉仕」の具現化を求め、人間として成長しようとする「一人ひとり」を尊重し、お互いに高め合う「人と人とのつながり」を大切にする学風(教育風土)があります。

 本学の “Student First” というモットーは、教育というサービスの受け手である学生におもねることを意味するものではありません。学生たち一人ひとりの成長をしっかり支えること、そして成長につながる出会いを大切すること、そういう私たち教職員の姿勢、決意を、端的な言葉で表しています。

 本学の教育カリキュラムと教育指導には、教育理念や学風と結びついた人間教育を大切にしているという特色があります。これにもう一つの特色が加わります。それはどの学部学科においても、実践的に学ぶことを重視しているという特色です。本学に入学した学生たちは、入学時からキャンパスの内外での体験活動・実習活動とその省察(振り返り)を行いながら、それぞれの専門領域での学びを深め、実践力を培っていきます。

 実践的な教育を行う上で、 何よりもアドバンテージになっているのは、本学と地域社会との結びつきの強さです。学生たちは、授業のなかで地域をフィールドとし、地域の課題と向き合うことで、あるいは課外のボランティア活動や大学の地域連携事業に参加することで、実践力を高めると同時に人間的に成長しています。

 山陽学園は、2026(令和8)年に創立140周年を迎えます。その歴史と伝統のなかで、本学は1969(昭和44)年の短期大学開学以来地域とともに歩む学園として、「愛と奉仕」を体現する多くの優れた人材を世に送り出してきました。

 私たちは、社会のために、共に生きる人々のために貢献する意欲をもつ人が、仲間と高め合いながら、本学での学びを通して成長していくことを、全力で後押しします。意欲に溢れる皆さんの入学を心待ちにしています。